ワシントンDC駐在記その4
こんにちは、実は先週DC駐在から帰国しました渡辺です。少し余裕ができましたので、駐在中のことを振り返って記録しておきたいと思います。
駐在期間は、7月~9月の約3か月間で、日本では猛暑のようでしたが、DCでも例年になく蒸し暑かったそうです。それでも東京に比べたら過ごしやすかったと思います。晴れた日が多くて、日差しも強く、そのうえ短期間で様々の体験をさせていただきましたので、振り返ってみればなんだか濃縮されたとても眩しい日々でした。
印象に残ったこととして、到着して早々独立記念日のパレードと夜の花火を鑑賞しました。その後、NATO首脳会合があり、交通規制で駐在する事務所のオフィスが数日閉鎖しました。なかなかレアな体験でした。
駐在中は、現地事務所とリアルケースでのディスカッションを通じて、米国実務の勉強をさせていただきました。また、各事務所やJETROニューヨークオフィスなどが主催する各種セミナーに参加し、最新の判例や話題に触れ、レセプションなどでいろいろな方と交流できました。
また、USPTOやCAFCへの訪問は必須のように思い、当然のように機会を作って訪れました。さらに、予定になかった最高裁にも行ってきました。今回はこのことについて少しお話ししたいと思います。
まず、USPTOは、実は2回訪問しました。また、USPTOの近くの事務所訪問で遠くから眺めることもありました。三角な屋根が特徴のUSPTOのビル(Madison Building)は、実はUSPTOビル群の一つで、その両側や手前にさらに6つのビルもあるのです。さすが3000名超の審査官を擁するだけあって、規模の大きさに圧倒されてしまいます。しかしながら、審査官のリモートワークが進み、オフィスには人が少なく、一部のビルの契約を解除する(解除した?)ようです。これもまたちょっと寂しいです。
一回目は、当事者系レビュー(IPR)のOral Hearingの傍聴でした。USPTOのHPからHearingのスケジュールを確認し、対面でUSPTOで行われていて、かつ、公開のものを見つけて行きました。政府機関なので、セキュリティーチェックがあります。パスポートを提示し、空港並みのセキュリティーチェックを受け、入館証を受け取り、エレベーターでHearingが行われる9階に行きました。今回は、Hearing room Dでした。部屋は思ったよりも小さく、体感的には日本特許庁の審判廷の半分ぐらいだったように思います。まず意見陳述で、原告・被告はそれぞれの持ち時間が50分ほどで、さらに質疑もそれぞれ15分ほどで、合計2時間半かかりました。審判官の一人はリモートでの参加で大画面で映されていて、意見陳述・質疑はあらかじめ用意したプレゼン資料を見せながら説明していました。審判官からときおり鋭い質問があり、代理人はすぐに答えられない場面もありました。長かったですが、なかなか緊張感があってハードでした。
二回目は、G&B研修プログラムの一環でPublic Search Facilityを見学できました。スタッフの説明を受け、施設を巡りました。いわゆるシューボックス(公報を入れる聞き出しがいっぱいの棚)の話やカラフルな植物特許の公報などは興味深かったです。ちなみに、銅像のThomas Jeffersonは国務長官として1790-1794年の間に米国特許法の管理者を務めていたそうです。多くの人が特許研究の幸運を祈って銅像を鼻をこするため、鼻先は白く光っていました。私もあやかろうと思ってほかの参観者と同じように鼻を触りました。
二回ともUSPTO内にある博物館(National Inventors Hall of Fame and Museum)も見学しました。なかなか面白かったです。ちょっとしたお土産も置いてあります。
最高裁(Supreme Court)は、入れないと思っていたのですが、調べてみたら一般公開されていることが分かり、せっかくなので行ってきました。日本の最高裁へは行ったことがないので、比べることはできませんが、とにかく建物の大きさや煌びやかさに圧倒されっぱなしでした。最高裁での審理は、年中行っているわけではなく、10月~翌年の6月だけということも初めて知りました。建物の一部は自由に見学でき、また1時間おきにCourtroom lectureがあり、Courtroomの中に入って説明を受けることができます。Courtroom内部は写真撮影禁止ですが、その手前の大ホール(Great Hall)やスパイラル階段の写真でその雰囲気を感じていただければと思います。また、1階(ground floor)のホールには司法制度の仕組みや最高裁の役割、歴史などが分かりやすく展示されていて、とても勉強になりました。
USPTOと最高裁ではお土産も買いました。
(弁理士 渡辺欣乃)
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